請求項目から選ぶ
退去費用は「全体でいくら」ではなく、項目ごとに誰が払うかの考え方が決まっています。請求書に書かれていた項目をここから選んでください。それぞれの項目で、原則としてどちらの負担か、住んだ年数が金額にどう影響するか、管理会社に何を確認すればよいかを整理しています。
請求項目は、大きく3種類に分かれます。①原則として貸主(大家・管理会社)の負担とされているもの、②契約書の特約の内容と、その特約が成立した経緯によって変わるもの、③借主の故意・過失が原因なら借主の負担になるものです。
①が請求書に入っていれば、借主負担とする根拠を確認する余地があります。 ③でも、クロスや床材のように耐用年数が決まっている項目は、住んだ年数に応じて負担が小さくなるのが原則です。
① 原則として貸主の負担とされている項目
次の入居者を迎えるために必要な費用、物件の管理のための費用として整理されているものです。請求書に入っている場合、借主負担とする根拠の説明を求める余地があります。
② 契約書の特約次第で変わる項目
契約書に「借主負担」と書かれていることが多い項目です。ただし、書かれていることと、その特約が有効に成立していることは別に判断されます。判例では①負担させる必要性と金額の合理性 ②借主が金額を含めて具体的に認識していたこと ③明確に合意したことの3点が問われる考え方が示されています。
- ハウスクリーニング・室内清掃特約次第耐用年数 考慮しない取扱い
掃除代は、ふつうに掃除をして出ていくなら原則として大家さん側の負担です。ただし契約書に「退去時のクリーニング代は借主が払う」と書いてある(特約)ことが多く、この特約が本当に効くのかが争点になります。書いてあるだけでは足りない、というのが大事な点です。
- エアコン洗浄・設備の費用特約次第耐用年数 6年
エアコンの中の掃除代は、ふつうに使っていたなら原則として大家さん側の負担側で整理されます。エアコンは部屋に最初から付いていた設備で、その手入れは持ち主の仕事という考え方です。
- 消毒・抗菌・消臭施工特約次第耐用年数 考慮しない取扱い
「消毒」「抗菌」「消臭」といった名前の費用は、そもそも何のために必要なのかが分かりにくい項目です。国のガイドラインにも一覧として出てこないため、なぜ借主が払うのかを一つずつ確認していく形になります。
- 立会い費用・事務手数料特約次第耐用年数 考慮しない取扱い
「立会い費用」「事務手数料」「諸経費」といった名前で乗ってくる費用です。部屋を元に戻す工事とは関係がないので、契約書のどこに根拠があるのか、金額はどう決めたのかを確認していく形になります。
③ 故意・過失が原因なら借主の負担になる項目
ここは正面から争いにくい部分ですが、確認点は2つあります。耐用年数に応じた減価償却が入っているかと、直す範囲が必要以上に広くなっていないかです。
- クロス・壁紙の張替え借主起因なら耐用年数 6年
壁紙は「6年住んだら価値がほぼゼロになる」という決まりで計算します。つまり長く住んだ人ほど、張替え代の負担は小さくなるのが原則です。請求書にこの計算が入っているかどうかが、いちばん大きな分かれ目になります。
- 床(クッションフロア・カーペット)借主起因なら耐用年数 6年
クッションフロアやカーペットも、壁紙と同じように「6年で価値がほぼゼロ」として計算します。家具を置いてできたへこみや、日が当たって色が変わった部分は、ふつうに住んでいれば起きることなので、原則は貸主の負担側で整理されます。
- フローリングの補修・張替え借主起因なら耐用年数 考慮しない取扱い
フローリングは、壁紙や床材と違って「何年住んだか」で割り引く計算をしません。ここが多くの人がつまずくところです。ただしそれは「言われた金額をそのまま払う」という意味ではなく、直す範囲が広すぎないかが確認の中心になります。
- 畳表・襖紙・障子紙の張替え借主起因なら耐用年数 考慮しない取扱い
畳の表面や襖の紙は「使えば減っていく消耗品」として扱われるので、住んだ年数で割り引く計算はしません。ただし、日に当たって色が変わっただけなら、ふつうに住んでいれば起きることとして整理されるのが原則です。
- 釘穴・ネジ穴の補修借主起因なら耐用年数 考慮しない取扱い
壁の穴は「画鋲くらいの小さい穴」と「下地の板まで届く釘・ネジの穴」で扱いが分かれます。前者はふつうに暮らしていれば空くものとして大家さん側、後者は借りた人の負担、というのが基本の線引きです。
- 残置物の撤去・廃棄費用借主起因なら耐用年数 考慮しない取扱い
自分の物を置いたまま出た場合、その処分代は借りた人の負担が原則です。ここは争いにくい項目なので、確認するのは「本当にその量だったか」「金額が高すぎないか」の2点になります。
明細を貼るだけで、項目ごとの負担区分・居住年数を当てはめた減価償却の目安・確認すべき点を整理し、管理会社への返信文を作ります。
登録なし・無料です。入力した内容はお使いの端末の中だけで処理され、当サイトに送信されません。
負担区分の考え方は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」および民法621条を参照しています。掲載している相場は目安であり、地域・業者・時期によって異なります。