タバコのヤニ・臭い
- 負担区分
- 故意・過失が原因なら借主負担
- 耐用年数
- 経過年数を考慮しない取扱い
- 確認すること
- 喫煙由来と判断した範囲(どの部屋のどの面か)と、クロス張替えに経過年数に応じた減価償却が反映されているか
部屋でタバコを吸っていた場合、壁紙のヤニや臭いの費用を求められることがあります。この項目は「借主の負担になりやすい」一方で、金額がそのまま通るとは限りません。ポイントは2つ、どこまでの範囲を直すのかと、住んだ年数が計算に入っているかです。
相場の目安
- クロス張替え:1㎡あたり 850〜1,300円(量産品/喫煙かどうかで単価は変わらない)
- 6帖1室の全面張替え:おおむね2.6万〜4.6万円
- ⚠️ 消臭施工は、原状回復業者6社の公開料金表のいずれにも載っていない。標準の工事項目ではなく個別に上乗せされる性質のものと考えられるため、内訳と必要性の根拠を尋ねる余地がある
公開されている単価表・料金表から集めた範囲の目安です。地域・業者・時期によって異なります。金額が目安から離れている場合、それだけで不当と判断できるものではありませんが、内訳の説明を求める手がかりになります。
「通常の使用」を超えるものとして扱われやすい
国土交通省のガイドラインは、日焼けや家具の設置跡のように、普通に住んでいれば自然に生じるものを貸主の負担としています。一方、喫煙によるヤニの付着や臭いは、これとは別に扱われ、借主の負担とされる例として挙げられています。契約で禁煙とされていたかどうかにかかわらず、この整理になります。
つまりこの項目は、負担そのものを争うより、金額の中身を確かめるほうが実のある項目です。
範囲が争点になる(部屋全体か、その部屋だけか)
請求書に「全室クロス張替」と書かれていることがあります。しかし吸っていた部屋と、そうでない部屋・廊下・浴室まで同じ扱いにできるかは別の問題です。ガイドラインも、喫煙による汚損については、クリーニングで除去できない場合にクロスの張替えが必要になる、という段階を踏んだ整理をしています。
そのため、どの部屋のどの面をヤニの付着ありと判断したのか、その判断の根拠(写真など)を求める余地があります。範囲が狭まれば、金額もそのぶん下がります。
6年で価値が1円になる計算は、ここでも効く
喫煙が原因であっても、クロスの耐用年数が6年であることは変わりません。減価償却(時間とともに価値が下がっていく考え方)は、汚した理由によって止まるものではないためです。
入居から6年以上たっている場合、クロスの材料としての価値はほぼ残っていない扱いになります。それでも張替え代の全額が請求されている形になっていないか、確認する余地があります。詳しい計算はクロス・壁紙のページに載せています。
ただし「1円しか払わない」という意味ではありません。張替えという作業そのものにかかる手間の分は、材料の価値とは別に考える整理になっています。
消臭施工が別に乗っている場合
クロスの張替えに加えて「消臭施工」「オゾン脱臭」といった費用が別に請求されることがあります。この種の施工は、調べた範囲では原状回復業者6社の公開料金表のどれにも載っていませんでした。クロス・床・クリーニング・鍵は6社すべてに載っていることと対照的です。
標準の工事項目ではなく個別に加えられる性質のものと考えられるため、施工の内容と範囲、その施工が必要だと判断した理由を尋ねる余地があります。クロスを張り替えたうえでなお必要なのか、という順序で確認すると論点がはっきりします。
管理会社に確認すべきこと
電話ではなくメールか書面で尋ねてください。記録が残る形にしておくことが後で効きます。
- ヤニの付着ありと判断した部屋・面はどこか、根拠(写真等)があるか
- 吸っていない部屋まで張替えの範囲に入っていないか
- クロスの張替え代に経過年数に応じた減価償却が反映されているか
- 入居時のクロスが新品だったか、それとも前の入居者から引き継いだものか
- 消臭施工が別に乗っている場合、その必要性と内訳の説明があるか
- クリーニングで対応できる範囲と、張替えが必要な範囲が分けて示されているか
請求書の項目を貼ると、この項目を含めて負担区分と減価償却の目安を整理し、確認事項を盛り込んだ返信文を3つのトーンで作ります。
無料です。ご利用にはメールアドレスでの登録が必要です(パスワードは作りません)。
よくある質問
契約書に禁煙の条項はありませんでした。それでも負担になりますか。
ガイドラインは、禁煙条項の有無とは別に、喫煙によるヤニ・臭いを通常の使用を超えるものとして整理しています。負担そのものより、範囲と金額の内訳を確認するほうが実際的です。
8年住みました。全室のクロス張替え代を全額請求されています。
クロスの耐用年数は6年です。経過年数に応じた減価償却が金額に反映されているか、また全室を対象とした根拠は何かの2点を確認する余地があります。
ベランダでしか吸っていませんが、室内の張替えを求められました。
室内のどの面にヤニの付着があると判断したのか、その根拠の提示を求める余地があります。
当サイトは公表されている資料をもとに確認すべき点を整理するものです。個別の事案について支払義務の有無を判断すること、ご本人の代わりに交渉することは行いません。判断に迷う場合、相手が法的手段に言及した場合は、消費者ホットライン188 から最寄りの消費生活センターにご相談ください。相談は無料です。